SBMAの会 球脊髄性筋萎縮症 患者会

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< 遺伝について >
[1] 青猫 sakutarou34@yahoo.co.jp 2008 5/18(日) 21:51:11
皆様へ
久しぶりに投稿させていただきます。
今回は遺伝に付いて少し考えてみました。
遺伝を断ち切り、子孫を残す方法【性染色体の選別?による異常遺伝子の排除】今の医学の進歩速度を考えると近い将来技術的には出来ない事ではないと勝手に考えていますが、人間の行う事のできる倫理的な問題が付いて回ります、ですが当事者である自分達SBMA患者にとっては切実な問題で【SBMA患者ばかりではなく全ての遺伝性有病者にとっても】倫理問題等どうでもいい!と考えてしまいます、こう考えるのは私だけでしょうか?

[2] Vanguard 2008 5/19(月) 23:18:30
私達SBMA患者にとって「遺伝」問題は切実で、また、切ない「問題」でもあります。
ここでは、「遺伝を断ち切るための子孫を選別するという、非倫理的な方法」については別に置いて、少しコメントいたします。
それは、、神経変性疾患をもたらす「遺伝子そのものを標的とする」治療研究についてです。
それは、RNAi(RNA干渉)を応用しようとするものです。
RNAi(RNA interference)とは二本鎖RNA(dsRNA)によってmRNAが分解されて、タンパク質への翻訳が阻害され、遺伝子発現が抑制される現象です。
RNAiは、もともと、遺伝子の機能を解析するために応用されていました。
しかし、RNAiによって、SBMAで言えば、異常伸長した変異ARを翻訳するmRNAを分解することにより、変異ARの発現自体を阻止しようというものです。
(現在行われている分子標的治療法は、変異ARの発現自体を阻止するものではなく、変異ARが核内封入体として集積するリガンドであるテストステロンを抑制することを標的としている)
つまり、RNAiの応用は、DNA自体の塩基配列はそのままにして(すなわち、SBMAの原因遺伝子はそのまま子孫に受け渡して)、SBMAの病因である変異ARの発現自体を阻止しようというものです。
一方、現在の「万能細胞」研究では、SBMAの原因遺伝子を抱えたままで、自身の細胞を増殖させるため、遺伝性疾患には応用が困難かもしれません。
RNAiの応用は、この「万能細胞の研究」での問題も解決できる可能性を持っています。
さらには、子孫は自由に残せるという治療法になりうるものではないのでしょうか。
(文中は私見です。
RNAiについてもう少し勉強しようと思っています)

[3] Vanguard 2008 6/28(土) 12:54:19
昨日まで、新横浜プリンスホテルにおいて、第26回日本神経治療学会年次総会が開催されました。
今次総会のメインテーマは、「神経治療の最前線~我々はここまで来ている~」です。
二日目には、教育講演5「RNA干渉の神経系への臨床応用」が行われました。
(座長名古屋大学神経内科氏演者東京医科歯科大学神経内科氏)
この講演のキーワードは、「siRNA」と「CAG長の変化等の遺伝子変異に対して、内因性野性型遺伝子の発現そのままにして、siRNA効果を示す」というところであると思います。
「RNA干渉」は、もともと「線虫」においてその発現が見い出されたものですが、哺乳動物細胞においても応用が可能となってきたものです。
なお、本標題[]において、「現在の「万能細胞」研究では、SBMAの原因遺伝子を抱えたままで、自身の細胞を増殖させるため、遺伝性疾患には応用が困難かもしれません」と申し上げましたが、例えば、私自身の「原因遺伝子を抱えたままの細胞」を増殖させ、その増殖した細胞を使用して、自己のSBMAの病態を徹底的に究明することは可能になると思います。
つまり、仮に、SBMAの直接的な治療には応用できないとしても、生検査をしないで患者自身の病態研究が可能になるという点が重要かと思います。
(文中は私見です。RNAiについてもう少し勉強しようと思っています)

[4] thirdlife 2008 7/ 3(木) 05:20:17
Vanguardさん、青猫さん、おはようございます。
ちょっと出先なので、レスが遅くなってもうしわけありません。
RNA干渉法は今遺伝子治療でもっとも注目されている方法の一つで、ノーベル賞も受賞しましたが、Vanguardさんのおっしゃるように遺伝まで押さえることは難しいと思います。
また実用までに10年はかかるだろうと言われています。
その間にもっと有効な技術が出てくる可能性もあります。
研究者は自分の名誉と名声をかけて、本当に日夜寝る暇もないほど努力しています。
良い治療法ができれば、少なくとも神経内科のなかでは、あっという間に広まります。
我々に出来ることは、今の段階では待つことしか無いと思います。

[5] Vanguard 2008 7/ 5(土) 00:12:07
thirdlife先生
コメントをいただき有難うございます
先生の仰るとおり、ヒトへの臨床応用までには時間がかかると思います。
研究者にお任せして待つ事にしましょう。
「RNAiの臨床応用」は、簡単に言えば、20塩基程度の小さなRNAであるsiRNAによって、対合するmRNAを分解し、変異タンパク質の合成を抑えるということですが、今後の課題の一つは、大量のsiRNAを細胞組織に導入する方法がまだ十分解明されていないことです。
「RNA干渉」は、1998年に、「線虫」においてその発現が見い出されたものですが、その8年後の2006年に、その研究にノーベル生理学・医学賞が贈られました。
この「8年後」というのは、「ノーベル生理学・医学賞」としては「短い期間で」という感じがします。
私の、当情報館への初稿が2005年11月ですし、もともとは、遺伝子ノックダウンによる、遺伝子の機能を解析するために応用されていたものなので、その当時は、RNA干渉の神経系への臨床応用については、特に情報もなく、想像もしていないものでした。
医学研究の進展の速度は我々が思っている以上に速いなあと感じています。

[6] thirdlife 2008 7/ 5(土) 06:17:35
Vanguardさん、おはようございます。
Vanguardさんの博識には驚くばかりです。
確かにsiRNAを核内に運ぶベクターが今一番の問題のようですね。
おっしゃるように人のDNA配列が明らかにされてからの研究のスピードは、目を見張るほど速くなっていますね。
研究者はそれぞれのテーマが本流と思っていろいろな枝を研究していますが、細い枝だと思われていたものが大きな成果を上げ大きな幹になっていくことが良くあります。
SBMAの研究でもそのようなことが起こり、一気に研究が進み一刻も早く治療に結びつくとよいですね。