■SBMA(球脊髄性筋萎縮症)情報館アーカイブス 掲示板 過去ログ
< SBMAの機序とリュープリン >
[1] Thirdlife thirdlife21@yahoo.co.jp 2005 8/22(月) 07:51:15
皆様
素人の私が生意気ですが、私の素人なりの考え方をお話しておきたいと思います。
ちゃんと調べればどこかにすでに発表されているかもしれません。
その際はご指摘をよろしくお願いします(ほたる様、皆様)。
私は、SBMAに少なくとも2つのステップがあるのではないかと考えています。
早い過程と遅い過程です。
第1の過程ではまずSBMAを発症した場合、男性ホルモンとレセプターの複合体が下位運動ニューロンの働きを妨害し、比較的早くそのニューロンの支配を受ける筋肉の筋力は低下します。
しかしこの段階では運動ニューロンは機能不全になっているだけで死んではいません。
したがって筋力は低下しますが、筋肉は壊死してはいません。
第2段階は、この状態が長く(何年か)続き運動ニューロンそのものが死に筋肉の萎縮が起こってしまった状態です。
実験マウスでは第1の段階にあり、リュープリンが著効であったのではないでしょうか。
発症して何年もたつ人での治験では、すでに第2ステップにはいっている細胞が多く、多くの筋肉が死んでいる可能性が強いと思います。
この状態でリュープリンを使い男性ホルモンをなくしても、あまり急速な筋力の回復は期待できないでしょう。
しかしリュープリンによる筋萎縮の進行は妨げられると思います。
ですから、リュープリンを10年間くらい使い、使わない場合と比較してみるような長い治験でないとあまりはっきりした差が出ないかもしれません。
Dutasterideなどについても、同じではないでしょうか。
[2] ほたる gary_uchiyama@yahoo.co.jp 2005 8/25(木) 07:55:11
Thirdlife様、
先生の投稿を読ませて頂き、なるほど!、こう考えることができるのかと思いました。
素晴らしい投稿有り難うございます。
私は素人で勉強不足ですが、先生のような考え方を書いた資料はみたことがありません。
(または気が付きませんでした)
8月初めのKDAチャットはNIHの先生2名がゲストで参加してくださいました。
いくつか皆様とシェアーさせて頂ければと思います。
マウスモデルでは短期間で効果がでた薬(たとえば、leuprolide、薬品名はリュープリン、Lupron)を、人間に投与するとどうして数年から10年も継続しないと目に見える(筋力アップなどの)効果が確認できないのかを質問してみました。
ネズミのモデルは人間に比べ早く進行させたSBMAを移植されています。
日本のネズミは更に強く進行(SBMAの遺伝子を移植)してあるらしいです。
ハエでは更に早い結果を得ることができます。
はたして、それらの強く進行されたハエやネズミの治療結果が人間の患者さんに同様に効果するかどうかは確かではないそうです。
これらを判明するにはまだ相当な期間がかかるのではないかとのことです。
男性ホルモンによる筋力増強効果を失わず、男性ホルモン抑制剤(Leuprolide)で奇形受容体の悪影響を抑え込むことは挑戦(チャレンジ)であるそうです。
Dutasterideが可能かもしれないそうです。
更に効力のある他の薬も探しているところだそうです。
これまでに解明されたSBMAの発病メカニズムのほかに、まだ解明されていない別の遺伝的、または環境的な要因があるのではないかとのことです。
それでdutasterideを治験したいとのことです。
しかし、日本のleuprolideとdutasterideのマウスモデルの結果を待っているので、いつ治験が始まるかはまだわからないとのことです。
SBMAはハンティング病とポリグルタミン延長が引き起こす同様な7種類の病気とシェアーしながら研究しているそうです。
もしかすると共通な発症メカニズムに対して、共通な治療方針があるかもしれないとのことです。
うまく訳されていない点があるかもしれません。
お許し下さい。
ご参考になれば幸いです。
[3] Thirdlife thirdlife21@yahoo.co.jp 2005 8/26(金) 11:43:02
ほたるさん、早速のレスと情報を有難うございました。
以前話題になったように、我々SBMA患者の筋肉は萎縮し脂肪組織で置き換わり霜降り状態になっています。
どこかを骨折されたことの有る方はおわかりだと思いますが、ギブスを1ヶ月巻いていると廃用性の筋萎縮が起こり、それをもとへ戻すためのリハビリテーションが大変です。
リハビリをやっても、もとへもどるのに何ヶ月もかかることも珍しくは有りません。
それなのに、リュープリンでマウスがたちまち回復するというのは、実験マウスは筋萎縮にまでは至っていなかったのでしょう。
前回申しあげたように機能不全の段階だったと考えざるを得ないのだと思います。
CAGリピート数の非常に大きなマウスを使い、症状を早く発現させているので、筋萎縮にまでは至っていないかったのではないかと思います。
ですから、リュープリンやdutasterideが短期間で効果が顕著でなくても、筋萎縮の進行を遅らせる効果はありうるので希望は持てるのではないかと考えています。
[4] ほたる gary_uchiyama@yahoo.co.jp 2005 8/27(土) 12:40:11
Thirdlife様、
そうしますと男性ホルモン抑制剤の治療は、今、SBMAと診断されたばかりの初期の患者さんには、筋萎縮の進行を遅らせる効果はあり、例えば、後7年歩けるところが10年以上に延びる可能性がありますよね。
しかし、私のようにもうすでに車椅子の生活をしている重症の患者(霜降り状態)には、歩行できるようになることは期待できないのでしょうね。
例えば、火の三要素(酸素、燃料、発火点以上の温度)はどれが欠けても火が燃え続けることができません。
同様に、SBMAにも3つ以上の要素(35~のCGAリピート、男性ホルモン、その他)があると良いのですが。
男性ホルモン以外(その他)の要素が見つかれば、進行を遅らせながら、男性ホルモンによる筋力増強を期待できるのですが。
ちょっと虫が良すぎるでしょうか。
[5] Thirdlife thirdlife21@yahoo.co.jp 2005 8/29(月) 18:00:15
ほたる様
私の申し上げたのは、あくまで素人の仮説の域を出ないもので、こう考えれば、動物実験と人での治験の差が説明できるというだけのものですから、信用しすぎないで頂きたいと存じます。
お尋ねの件は、いずれも大規模治験を重ねて初めて結論の出ることだと思います。
そのためにNIHでも、名大でも、東大でも、鹿児島大でも努力が続けられているのだと思います。
それでもSBMAは神経難病のうちで研究が最も進んでいるものの一つだと思います。
我々もその恩恵に浴する可能性が十分ありうると思いますので、ぜひ期待して見守りたいと思います。
良い情報がありましたらぜひまたご教示ください。
[6] Thirdlife thirdlife21@yahoo.co.jp 2005 9/13(火) 10:56:45
ほたる様、皆様
以前dutasterideやfenasterideの治験の話をご紹介いただきましたが、Nikkei Medicalの9月号の今月のキーワードによると、日本でも12月より発毛剤としてfenasterideが発売されるようです。
副作用としては胃腸障害が5%、性機能障害が2.9%程度とのことですから、もし治験で有効性が証明されれば、経口剤であることと性機能障害が極めて少ないという点で、リュープリンより有利ではないかと思います。
健康保険のきかない医師の指示薬として発売されるが、1ヶ月で6000円を大きく超えることは無い模様とのことです。
とりあえずお知らせまで。